聞こえたら手を挙げて

2019/ 10/ 18 (金)

 お天気があまりよくない。秋を通り越してもう冬のようだ。

 近くの中学校脇の歩道が、散った金木犀の花でオレンジ色に染まるのを今年はまだ見ていない。そんなことを考えながら歩いていると、鋭く「ピィーーーッ」とホイッスルの音が響いて、「この音が聞こえたら左手をまっすぐ挙げてください!」という男性の声がした。え? 聞こえましたけど……と思って校内の方を見ると、制服姿の15人くらいの男子生徒が、数メートルおきに遠くまで一列に並んでいる。皆、後ろ向きだ。

「いいですかー?!」と言って、先生らしき人が改めて笛を吹くと、手前の生徒からどんどん順番に手が挙がっていった。見ていた女生徒たちは「おもしろーい」と声をあげ、それから、次は女子が並ぶ番なのだろうか、列を作りに走って行った。

 音の伝わる速さを眼で見る、アナログな実験かな?

 1秒に約340メートル。

 そういえば、中学生くらいの時は、そんなふうに教室外でやる授業が好きだった。教科書を持って音楽室や理科室へ移動したり、外に行くためにぞろぞろと昇降口へ向かったりするだけでわくわくした。単純に気分が変わるとか、自由に動けて好きな子がよく見える位置に行けるとか、まあ、それくらいの理由だったんだろうけれど。

 そんなことを思い出しながら駅に向かう。体育館からは、キュッキュッとシューズと床の擦れる音が聞こえてくる。

 あなたの声はあとどれくらいしたら耳に届くんだろう。手を挙げる準備はできている。

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中身が見えない

2019/ 10/ 17 (木)

 台風の前に出した防災グッズを戻すついでに、玄関脇のクローゼットの中身を半分だけ整理した。奥行きがあるので、奥へ奥へと入り込んでいた物があり、「これってなんだろう」と引っ張り出して開けてみたら、浮き輪やらシュノーケルが出て来たりしてびっくりだ。コンテナや箱にはだいたい何が入っているのか書いて貼ってあるけれど、不透明な袋に入れたままのものは、数年たつと中身が思い出せない。今回、そういうものは全て透明な袋に入れ替えた。

 

 見えない袋に入ったまま、「私はこういう(駄目な)人間です」と、開き直り気味に性格を宣言する人をたまに見かける。それがマイナスイメージな言葉であればあるほど、なぜわざわざ言うのか分からない。そうやって透明な袋に入ったつもりなのかもしれないけれど、べたべたと貼り付けているレッテルのせいで、本当の中身が見えにくい上に、見方を強要されている気もする。……と、まあ、他人のことをあれこれ言いたい時というのは、自分自身に不満がある証拠らしい。(と、どこかで読んだ) 当たり。

 

「こういう私」にコンプレックスがあるから、そのレッテルを剥がそうと足掻いている。まあ、足掻き方も年齢なりの緩やかさにはなっているけれど……。そういう「足掻き」をかっこいいとかかっこ悪いでジャッジしがちな風潮も、なんだかなーと思う。

 

 見えない袋に入れて隠したところで、どんな人なのかは、少しずつ透けて見えてくるものだろう。

「こういう人なのかな?」と、だんだん分かってくるとか、なんとなく分かってくる……でいい。その印象を簡潔な言葉や記号に当てはめるのは好きじゃない。

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呪いの占い

2019/ 10/ 16 (水)

朝、テレビから流れてきた占いを耳がキャッチしてしまった。「天秤座のあなた、秘密がバレて大ピンチ。対策を講じておいて!」みたいな内容だった。そんな占いは信じちゃいないし、バレて困る秘密もないとはいえ、朝から嫌なことを聞かされるのは面白くなかった。

午後、ひょんなきっかけで、失敗をやらかしていたことに気づいた。それも、1週間前のやらかしだ。BさんからことづかってAさんに伝えるべきことが2つあったのに、ひとつだけだと思い込んで、ふたつめを伝えていなかったのだ。

べつに「秘密」にしたわけではないとはいえ、こんな時だけ当たるんだな、占い。

Aさんにメールしてみたら、ほとんど問題はなかったと分かったけれど、私としては悔やまれてならぬ。そもそもどうしてふたつめに気づかなかったのかというと、…などと、うだうだ書いても仕方ないしなぁ……あーあ。

「大丈夫だよ。次から気をつければいいんだよ!」
…って、今誰か言ってくれた?

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