外向きの花

2017/05/28(日)

 

ベランダに植えた花はみんな外を向いて咲く。

普通の鉢植えならくるりと向きを変えられるけれど、ベランダの外壁沿いに植えてしまったつるバラは動かせなくて、花の正面を見ることができない。

 

こっちでも外向き。

 

一軒家はもちろんマンションでも、外から眺めることのできるお宅のバラは素敵だ。でもうちのバラは、外から見たかったらドローンでも飛ばすしかない。あ、内側から長い自撮り棒を使って撮ればいいのか。


 

ー ねえねえ、そこから向こうに何が見える?
ー この小さい鉢(ラベンダー)、ちょっと邪魔ね。


棘に触れないように、精一杯腕を伸ばして撮った横顔。

 

いいのよ、明るい方を向いていて。

幸せそうに咲いていて。

 


落ちないウロコ

2017/05/24(水)

「苺ミルク」という名前のついていたマーガレット。

 

 

ラジオから聞こえる可愛らしい女優さん(主婦・母親)の声が「私の好きな本をご紹介させてください」と言うので耳を傾ける。「お野菜の保存の仕方が、丁寧に書かれているご本です。人参の正しい保存の仕方、皆さんは、ご存知ですか? 私は、知らなくて、根菜はみんな、常温でいいと思っていたので、この本を読んで、目からウロコでした」

 

キラキラっと初々しさが舞う。

 

眩しい日差しの底に、一本ずつ新聞紙に包まれて野菜室に並んだ人参たちが映る。そうよ、そうして包んだ新聞紙は用が済んだら膝の上でシュッシュときれいにシワを伸ばして、きちんとまた古紙回収に出すのが丁寧なくらし。スーパーで買ってきたまま何でもぽいぽいと野菜室に入れるだけなんて、駄目。野菜それぞれに、守られるべき正しい保存方法があるのだ。

 

……私はしないけどね。


主婦歴が長くなって、もう目からウロコが落ちるような情報に触れることは少なくなったことに思い至る。とはいえ、既に知っているからと言って、その通りにしているわけではない。買ってきた人参を袋のまま野菜室に入れても萎びる前に使い切れるならば問題はない。ただ、それを推奨したらいけないような気はしている似非ベテラン主婦だ。

 

「人参の保存? 新聞紙に包んで野菜室に立てておくといいのよ、私はしないけど」

そんな言い方じゃ、件の女優さんも目からウロコが落ちなかったに違いない。

 

いつか私にも転機が訪れ、背中を丸めて一本ずつ丁寧に人参を包む(その前には、新聞を丁寧に切り揃える)、その手つきもやさしいお婆さんになれるかもと想像したらちょっといい気分にもなるけれど、冷蔵庫の性能が上がる方が百倍早そうだ。

 


油断しがちな季節

2017/05/22(月)

花の季節になったから、ベランダによく目が行く。

そうすると、土が乾いているとか、散りそうな花があるとか、虫くいの葉があるとか、何かしら気になることを見つける。

そうして、ちょっとのつもりでベランダに出て、あっという間に時間が経ち、洗面所で手を洗う頃になって気づくのだ。あーあ、日焼け止めも何も塗っていなかったと。

外に出かけると次の日はぐったりという体たらくなので、体力をつけなきゃと思うのだけど、体力がないから動きたくないという悪循環。筋力よりもまず、意志が弱い。

頑張れるように、誰か面倒をみてくれたらいいのにな。はいはい、ここで水分を採りなさい、日を浴びなさい、ほらほら、消毒しておきましょうね、ムシがつかないように……って。でも、今さら咲けるわけもないし、呆れられてバッサリ切られてしまうね。